はじめに
この記事は、『できるだけラクに無理なく』泳ぎ続けたい人向き、です。
スピード重視や、記録更新を目指している人には、参考にならないでしょうから、回れ右することをおススメします。
それでは解説していきます。
『力み』を最小限に
できるだけラクに、長時間泳ぎ続けるために重要なこと。それは、『なるべく力まない』ことです。
デスクワークをしている方なら経験あるかと思いますが、PC作業って肩が凝りませんか?凝りますよね?
なぜか?それは『無意識に力んでいる』からです。
手首(や前腕、肘)をついたその姿勢は、僧帽筋や三角筋や肩甲挙筋や菱形筋を緊張させます。

直立で腕をだらんと下げた姿勢。これが最も力みがない状態です。

これと比較してみると、PC作業の姿勢はどこかに少なからず力み(=緊張)が生じています。

結果、肩を挙上する「僧帽筋・三角筋・肩甲挙筋・菱形筋」が力む
長時間、ラクに泳ぐには、このようなちょっとした力みをできるだけ排除したいのです。
(もちろん、『力み』だけでなく『姿勢』も凝りの原因になります。猫背気味な姿勢は、先ほどの直立で腕を下げた状態と比べると、背中が中途半端に引き伸ばされた状態。

中途半端に伸ばされる=微妙に緊張し続けること。
また猫背姿勢は、巻き肩=大胸筋の収縮・緊張とセットです。

すなわち、悪い姿勢・偏った姿勢も、結局のところ不自然な『力み』と言い換えることができます。)
僧帽筋の緊張を比較してみよう
さて、それを踏まえて、検証してみましょう。
直立の姿勢で、腕を真上に上げていきましょう。僧帽筋と三角筋などが力むのが感じられると思います。


皮膚にも筋肉にも『ゆとり』がない状態
そこから今度は、90°腕をおろして、真っすぐ前に伸ばすように。

先ほどの緊張がゆるんだと思います。
ということは、この90°から真上のどこかに、緊張のスタートポイントが存在するはずです。実験しましょう。
90°からすこしずつ腕を上げていくと…「力が入り始めたかな?」から「一気に力みが出た!」の転換点が見えてきませんか?
おそらく、角度にして150°~160°ぐらいではないでしょうか?

つまり、おおむねこの辺りが、力む力まないのボーダーライン。
水平姿勢に置き換えると、手のひらが水面から30cmほど沈んだところ。
ということは、手のひらが30cmほどの深さにある時、僧帽筋も三角筋も、過度に緊張することはありません。
むしろ、『前に伸びる』意識を強く出し、水面と平行に腕を伸ばそうとすると、肩(僧帽筋・三角筋)が緊張して窮屈に感じられます。
無意識に力んでいるのです。
べつの形で検証してみます。
弓を引くポーズ
弓道やアーチェリーで弓を引くポーズ。

このポーズをとってみても、僧帽筋や三角筋に、そこまで大きな緊張は感じないと思います。

つぎに、真上に矢を射るイメージで、角度を変えてみましょう。

どうでしょう?肩も背中も一気に緊張感がみなぎりませんか?
ではそこから、腕を水平に下ろしましょう。
だいぶ緊張が解けましたね。
さらにそこから、少し手を下げると・・・僧帽筋のさらなる脱力を感じませんか?

つまり、腕を真上に上げるのは、僧帽筋・三角筋(=背中・肩)が緊張した状態。
そこから真横に下ろすと、背中・肩の緊張が抜けます。
が、しかし、(上部)僧帽筋には若干の窮屈さが残ったまま。
ここからさらに腕を下げると・・・(上部)僧帽筋がゆるみます。
だいたいこの時の下げ幅が、水平から30cmくらい。角度にするとおおむね20°くらい。
視点を肩甲骨にフォーカスします。
腕が真上だと、肩甲骨がガチガチに固められて自由が奪われた状態。

真横に下ろして、ようやく動かせるようになったけど、まだ制約から解放され切ってない状態。

そこから20°ほど、あるいは30cmほど下ろして、ようやく肩甲骨が筋肉の制約から解放されてフリーに動けるように。

総合すると、水面から30cmほどの深さに手を位置することで、筋肉の緊張も最小限におさえられ、かつ肩甲骨・肩が制約を受けることなく、自由にラクに動かすことができます。
結論:手は水面下30cm
というわけで、結論です。
クロールのリカバリー後の入水では、手はどの深さまで沈めるべきか?
ラクに省エネで泳ぎたいのであれば、手は水面下30cm。
最も筋肉の緊張が少なく、最も肩甲骨が自由に動き、最も肩関節への負荷も少ないポジション、それが水面下30cmです。
泳ぎの前に『弓を引く』
ぜひこの『弓を引くポーズ』を、実際に泳ぐ前に左右、何度か繰り返してみてください。
そしてそのまま、水に倒れこみましょう。
背中・肩(僧帽筋・三角筋)の力みのない『入水/エントリー』角度が自然に再現されることでしょう。
力みのない入水は肩甲骨もフリーになり、肩甲骨の伸びが活かせます。また、背中・肩が力まないことで、連動して全身の無駄な力みも抜けやすくなります。
力みが無ければ、体は浮きやすいです。
水深30cmの入水を体験してみましょう。そして、水面すれすれの入水と比較してみてください。脚の浮きやすさがどう違うか?
みなさんご自身で体感してみてください。
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